税理士の菅野です。
年が明け、確定申告の時期が近づいてきましたね。
昨今の働き方改革等で、会社員など本業のある給与所得者でも副業をされている方は、年々増加傾向にあると思います。
副業としては、パート・アルバイトとして給与収入を得ることや、大家として不動産収入を得ること、フリーランスで事業を行う等、副業のパターンは様々です。
最近ではネットの普及やSNSの活用などもあり、以前よりは容易く副業収入を得ることができるようになったと思います。
手軽に始められそうな副業は『微々たる収入だから申告しなくても大丈夫』と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、たとえ副業による収入であっても利益が生じている場合には、原則として、確定申告をしなければなりませんので、税理士らしく少し掘り下げて説明したいと思います。
1.副業収入に該当するもの
一般的にイメージしやすいものとして、例えば居酒屋やコンビニでの深夜のアルバイトのように雇用されて働くことにより得られる給与収入のほか、ウーバーイーツ等の代行業、youtuberなどSNSを活用した事で得られる広告収入、原稿を執筆することにより受け取る原稿料、不動産オーナーが受け取る不動産収入等があります。
2.副業により確定申告が必要となる基準
会社員やパート、アルバイトの方で給与を2か所以上から受けている方で、年末調整を受けたA社からの給与とは別に、年末調整を受けなかったB社からの給与と※各種所得の金額の合計額が年間20万円を超える場合には、確定申告が必要になります。
この他、年末調整を受けたA社からの給与とは別に、※各種所得金額(給与所得と退職所得以外)の合計額が年間20万円を超える場合は同様に確定申告が必要となります。
※所得税では、各人が受け取る収入を以下の10種に区分して計算しますが、各種所得の金額とは、その10種に区分した所得のことを指します。
・利子所得 ・配当所得 ・不動産所得 ・事業所得 ・給与所得 ・退職所得
・譲渡所得 ・山林所得 ・一時所得 ・雑所得
3.『収入』と『所得』の違い
ところで、『収入』や『所得』という言葉を羅列していますが、ここでいう『収入』と『所得』とは以下の通りです。
収入とは
会社員でいう給与と賞与を足した「年収」や、自営業者でいう「年間売上」等の純粋な収入金額
所得とは
「所得」とは「収入」から「その収入を得るために支払った経費」を「差し引いた金額」
4.副業の際はココに注意!
ここからは副業をしている方、もしくは副業をご検討されている方向けに、特に押さえておいて頂きたいポイントをお伝えします。
20万円ルール
収入と所得の違いを踏まえた上で、「2.副業により確定申告が必要となる基準」でご説明した「所得金額の合計額が年間20万円を超える」とは、収入から必要経費を差し引いた所得金額が年間で20万円を超えた場合ということです。
<事例>
副業がウーバーイーツで配達したことによる報酬を受け取っている場合
仮に収入金額が20万円を超えていてもその収入を得るために支払った必要経費(ガソリン代など)を差し引くことにより、所得金額が20万円以下に収まれば申告は不要となります。
つまみ申告
つまみ申告とは、その名の通り本来申告すべき収入金額や所得金額を故意に一部分のみつまみ出し、過少に申告する行為を言います。
<事例>
副業として、当初は個人の所有物である衣類をオークションサイトで売却しお小遣い程度の収入を得ていたが、今後は事業として仕入れた衣類を販売していきたい
このような場合には所得税の申告が必要となってきますが、ここで注意すべきは事業として仕入れた物を販売して得た所得はもちろん、個人の所有物を販売したことで得た所得に関しても同様に申告することが必要となる点です。
申告は必ず正しい金額で行うことが重要です。
意図的な「つまみ申告」は所得隠しとなるので、気を付けましょう。
20万円以下でも住民税の申告は必要
いわゆる「20万円ルール」は所得税の確定申告のお話しとなりますが、住民税においては、副業収入の金額に関わらずお住いの各市区町村に申告する必要があり、申告せずにいると本来の住民税額に加えて「延滞金」を加算される場合があります。
副業で得た収入が20万円以下で確定申告を行わない場合には注意が必要です。
一方、確定申告をした場合には納めるべき所得税額が決定するだけでなく、その内容はお住いの各市区町村へも通達されます。
従って各市区町村は誰がいくらの収入を得たかを把握するところとなり、結果として副業による収入金額も把握できるため改めての住民税の申告は不要となります。
まとめ
今回は、副業収入を得た場合の確定申告について説明してきましたが、この「20万円」以下の所得を一概に申告しない。という選択をするものではなく、その副業の内容によって源泉徴収される事業の場合には、確定申告をした方が有利となる場合もありますので、国税にも申告するべきかどうかは、税理士に相談されるのがよろしいかと思います。
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