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青色申告とは

青色と白色の違い・メリット

税理士の菅野です。
所得税の確定申告が始まりましたね。
私の新規顧客で、期限内に「所得税の青色申告承認申請書」の提出を忘れたり、 申請手続きがわからないといった理由で、白色申告で申告する人が意外に多かったので、 今回は、青色申告について、お話ししていきたいと思います。

1.青色申告制度とは

簡単に言うと、納税者が自ら税法にしたがって所得金額と税額を正しく計算し納税するために、収入金額や必要経費に関する日々の取引を記帳し、取引の際の書類等を保存しておけば、税法上有利な取扱いが受けられるの制度のことです。

この制度は、「事業所得」「不動産所得」「山林所得」がある個人事業主が提出期限までに「所得税の青色申告承認申請書」を所轄税務署長に提出し承認された場合に適用されます。

※青色申告の条件を満たしていなかったり、申請をしていない人は全て白色申告となります。
※所轄税務署長の承認が必要ですが、原則としてその提出した年の12/31までに却下などの処分がなければ承認があったものとみなされます。

2.「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限

原則として、その年適用を受ける年の3月15日までが申請書の提出期限になり、
新規開業した場合には「業務を開始した日から2ヶ月以内」が提出期限となります。

3.青色申告の特典

特典としては、以下のようなものがあり、よく活用される特典について解説いたします。

①家事関連費の必要経費算入

個人事業主やフリーランスで自宅で仕事をしている方の場合、家賃や水道光熱費などを事業を行う上で必要な支出として経費計上することができます。
このようにプライベート・業務両方に関わる費用のことを家事関連費と言います

費用として計上するにあたり、

「費用の内業務の遂行上必要な部分が50%を超える場合」

という条件があるのですが、青色申告者の場合、業務上必要であることを明らかに区分することができる場合には、必要経費に算入することができます。

※国税庁の法令解釈通達〔家事関連費(第1号関係)〕では
「必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。」としています。
つまり、青色申告でも白色申告でも、プライベートと事業の明確な区分ができれば必要経費として計上してかまわないため、実務的な取扱いに違いはありません。

【国税庁】〔家事関連費(第1号関係)〕

②棚卸資産の評価についての低価法の選択

青色申告者の場合、棚卸資産の評価の方法に「低価法」を適用することができます。

「低価法」とは、資産取得時の価格と期末時点の時価を比較していずれか低いほうを棚卸資産の金額とすることができる方法です。
在庫の時価が原価法の金額を下回っている分を評価損、つまり損失として計上できるため節税対策にもなります。

 ③減価償却関係

・中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入

事業所得、不動産所得、山林所得で使用する20万円以上の減価償却資産は、原則として、耐用年数に応じで減価償却費として必要経費に算入しますが、30万円未満の減価償却資産(その取得価額が10万円未満であるもの及び貸付目的で購入したものを除く。)については、一定額までは、使用したときに全額必要経費に算入することができます。

青色申告の場合、30万円未満の減価償却資産は一括で経費にすることができます。
白色申告の場合は、10万円未満まで一括で経費にできます。

④貸倒引当金の繰入

貸倒引当金は、将来の債権回収の不確実性に備えて企業が設ける備え金です。
青色申告者は、貸倒引当金のうち一定額まで経費として計上することができます。

⑤青色事業専従者給与の必要経費算入

配偶者やその他親族などの家族に対して給与を支払う場合、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出期限までに所轄税務署長に提出すると、支払った給与は、全てを必要経費に算入することができます。

※白色申告の場合でも、事業専従者控除という制度はありますが、配偶者は86万円まで、その他親族であれば50万円までしか控除することができません。

⑥小規模事業者の現金基準

小規模事業者の現金基準とは、売上や支出が現金でのやりとりがあった場合にのみ収支を計上する、簡易な帳簿管理のことです。
複雑な帳簿をつける必要がなく、収支を把握しやすいのがメリットです。

⑦青色申告特別控除

青色申告特別控除は、10万円、55万円、65万円の3段階があり、いずれかの金額を所得の金額から控除することができます。

10万円控除

事業所得、不動産所得、山林所得の金額から、10万円を上限に控除することができます。

55万円控除

事業所得、不動産所得を生ずべき「事業」を営むもの(⑥小規模事業者の現金基準の規定を受けたものを除く)が、帳簿を備え付けて、これらの所得にかかる取引の内容を詳細に記録しているときは、これらの所得の金額から55万円を上限に控除することができます。

65万円控除

55万円控除の条件に加え、電子帳簿保存及び電子申告を行う場合には、
事業所得、不動産所得金額から65万円を上限に控除することができます。

⑧純損失の繰越控除

過去の事業年度に発生した損失を将来の利益から控除することができる制度があります。

具体的には、青色申告者がある事業年度に損失を出した場合、その損失を次の事業年度の利益から差し引くことができます。
このようにして、過去の損失を未来の利益に適用することで、税金を支払う際の利益が減少し、税金負担を軽減することができます。

⑨純損失の繰戻による還付

⑧繰越控除と逆パターンで、青色申告者がある事業年度に損失を出した場合、その損失を前の年度の利益から差し引くことができます。
これにより、過去の利益に対する税金を少なくすることができます。

※当制度の適用には前年分から青色申告書を提出している必要があります。

詳細はこちら
【国税庁】A1-4 純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求手続

まとめ

記帳は、簿記の知識が必要であるため、ハードルが高いかもしれませんが、提出期限までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出するだけで、特に3で解説した特典を受けられるので、挑戦する価値はあると思います。

最後になりますが、個人事業主の方は、事業活動や、営業、事務作業などやることがたくさんある中で、確定申告まで手が回らないと思っている方はたくさんいらっしゃると思います。

多少お金がかかってしまいますが、確定申告は税理士に委託してしまった方が、
青色申告特別控除65万円控除も受けられますし、税理士報酬も事業の必要経費になるので、タイムパフォーマンスとしてはいいのではないかと思います。


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